自分の由来3
なんとまさかの三部構成となった。
自分のことを垂れ流すだけでこの有り様。どうりでTwitterやFacebookに向いてないわけだ。自覚していたけど!
でもここからだけがいわゆる「IT」に関する話なので、この回だけで良かったじゃん、と思う。強く。
インターネットで遊ぶ
ロボット型検索が登場して以降、インターネットは「近所+ちょっと知らない人との遊び場」から、「大気圏内どこでも」くらいの規模感に変貌を遂げた。今まで自転車、せいぜい軽自動車で移動していた人間が、ある日突然「どこでもドア」を入手したようなものである。
また、回線事情も大幅に改善され、アナログ→ISDN→ADSLとバージョンアップされていき、当時は革命的だった「テレホタイム以外でも定額つなぎ放題」という夢の様な状況が訪れることにより、我々の興奮は頂点に達した。
とにかく、この面白い遊び場を使って何かしなければならない、という無駄な使命感に満ちていた(本当に無駄である)。
コミュニティサイト作ってみた
で、友人何人かといろいろサイトを作っては潰してみたり試行錯誤しているうちに、あることが分かってきた。
- 既にあるものより、今ないものの方が人が集まること
- 自分でコンテンツを作るには限界があること
- 人はネットでの交流に目覚めると中毒になり、やめられなくなること
- 当時の「アクセス解析」で見える「累積訪問者数」などはクソほども意味が無いこと
- ユーザーの思いは数字に現れるが、数字に現れない思いを汲み取るのは困難なこと
など。今の時代となってはいずれも当たり前のことで、取り立てて語るほどのことはないが、現代のようにいろんな解説を頭の良い方々がはてなブログに掲載してくれている時代ではなかった当時は、何もかも手探りであった。
で、立ち上げたのが趣味特化のコミュニティ系のサイトであった。今で言うSNSにあたると思うのだが、まだFacebookはおろかMixiも存在しなかった当時は、我々は自分たちの競合は「エキサイトフレンズ」だと思っていたのだからかわいいものである。
契約の都合もあるので名言は避けるが、我々の立ち上げた某コスプレコミュニティサイトはサービス開始以降そこそこのユーザーを抱え、なかなかに盛り上がったと自認している。
当時作ったサイト。一応モザイクをかけてみたが、丸わかりである。しかし、懐かしい。
良かった点を簡単にまとめておくと
1.当時まだアングラ的な趣味であった「コスプレ」というテーマが良かった
これは当たり前なのだが、今でこそコスプレは世間における認知度も高まり、コスプレを題材にしたサイト・サービスも多数存在しているが、当時はコスプレについては「ニーズはあるが、競合がいない」というド級のブルーオーシャンであった。また、初期のネットユーザー≒オタク層ということもあり、素地としては最高であった。
2.コミュニティ形式にしたことで、ユーザー同士が勝手に盛り上がってくれる
前述した通り、コンテンツを自分で作るのは非常に難しい。
そうではなく、ユーザー同士が互いのマイページを行き来し、掲示板やサービス内メールで交流することで、有り体に言えば「勝手にPVを稼いで」くれた。今ならばSNSの仕組みというものは当然そうであるし、当たり前のことなのだが、当時はなかなか斬新であった。
※もっとも、これも今では常識だが掲示板やメッセンジャーで発生するPVは当然収益性が低いわけで、後にこり大量のPVを持て余すことになる。
3.コスプレイヤーの最大のneedである「写真を見せたい」という欲求を機能で満たした
コスプレイヤーがインターネット上において最も興味のあること、それは当然ながら、他のコスプレイヤーとの交流である。そのためには当然、自分を表すものとして自分のコスプレ写真が必要となる。
4.登録コスプレイヤーにナンバーを付与してみたら、名刺やバナーを作って勝手にサイトを流布してくれた
単純に管理上の都合もあったのだが、コスプレイヤー一人ずつに専用のページが解説されるため、登録順にIDを振っていった。これを「○○○.ナンバー」と称してまるで会員番号のように見せ、さらにこれはURLの一部にもなっているため、この番号が分かればすぐにそのコスプレイヤーのページを確認することができた。
そのため、コスプレイヤーたちはイベント等でリアルに交流する場合にそれぞれ名刺のやりとりをして自己紹介をするのであるが、その名刺にこのナンバーを掲載するケースが増えた。コスプレイヤーからしてみれば、自分のホームページの長いURLを掲載するよりも、数桁のナンバーを掲載しておいたほうが、名刺を受け取った側が自分のページに接触する確率は飛躍的に高まるわけで、非常に利便性が高かった。
おかげで、我々のサービスは大きなプロモーションを打ったわけでもなく、口コミでユーザーを増やしていくことが出来た。
5.徹頭徹尾「ユーザーのためにやります」と言い続けてたら信じてもらえた
これも今では当たり前なのだが、アクセスログや目に見えるユーザーの言動だけを眺めていても、サービスの改善点は見えてこない。今でこそGoogle Analyticsのようなすさまじいツールはあるが、当時はそのようなものもなく、ログからはユーザーの要望は見えづらかった。
そんな中で、イベント等のリアルの場所ではもちろん、日々サービスの掲示板やチャット等でユーザーと接し、サービスへの気持ちと要望を聞き続けることで本当の改善が見えたし、ユーザーとの信頼関係も築くことが出来た。現代の大きなサービスともなると直接ユーザーと触れ合うことは難しいのは言うまでもないが、やはりコンシューマサービスにおいては「答えはユーザーにしかない」のであって、声を聞く努力は怠ってはならないと肝に銘じなければならない。
逆に悪い点も当然あって、
- 写真を無尽蔵にアップできるので、設備担当のメンバーが毎日死んだ
- イベントやってみたけど、続かなかった
- 友達と大きな仕事をするのは難しい
- とにかく、ビジネスモデルがなかった
などなど、特にビジネスモデルのなさは深刻で、これがあると当然のことながらサービスを続けるのは困難を極める。これも今では考えられない話だが、当時はまだCPC型の広告というのはGoogle様のAdsenseが始まったばかりくらいで、ロクなものはなかった。
インターネットにおける広告といったら、代理店を通じてimpsを切り売りする、純広告しかなかったのである(寒気がする)。
当然本業の片手間でやってる我々に営業を行う余力はなく、それでもコスプレ業界の数少ない業者にバナーを買ってもらったり、イベントなどリアル進出で儲けられないか試してみたり、サイト自体の有料化を検討してみたりなど試行錯誤を繰り返すも、当時はPVばかりな巨大なコミュニティサイトを片手間にビジネス化する手段はなかなかなかった。
結局某ポータル社に売却してしまうわけであるが、これをキッカケにネットサービスにおいてはビジネスモデルの存在を強く意識しなければダメ、と自戒の念を新たにすることになる(すぐ忘れるけど)。
で、こんなことを繰り返しながら本業でもIT業界に身を置くことにしまして、今に至る。
本業のことはつまらないから割愛。気が向いたら書きます。